先日、京都の有名漬物店の息子さんの話を伺う機会がありました。
私はこの店とは、かれこれ40年ぐらい付き合いがあるのですが、
以前から百貨店には出店しないことで知られていました。
京都の誰でも知っているような有名料亭や旅館でも、この店のお漬け物が使われていますが、
そのことはあまり表には出されません。
お漬け物は料理の黒子のようなものだとの思いからでしょう。
店の佇まいも表通りから路地を少し入ったところにあり、知る人ぞ知る名店といったところです。
東京でお漬け物の話をしていると時々この店の名前を聞くことがありますが、東京にもファンの方は多くおられます。
話の中で面白かったのは、お漬け物の材料になる野菜の話でした。
以前は京漬物ということで、京都近郊で採れる野菜を使っていたのだそうですが、
生産農家の減少と価格の高騰で、手頃な価格で良いお漬物を提供するのが難しくなってしまったそうです。
それで原料となる野菜の価格と品質を考えると、宮崎県で作ってもらうのが一番良いということで、
最近は指定農家に品種と育て方を指定して育ててもらっているとのことでした。
実際主原料のキュウリなどは、品種としては200種類程あるそうですが、
私たちがスーパーなどで日頃見かける種類は2~3品種ぐらいに限られるとのことでした。
見栄えが良くて長距離の運送にも耐えられ、育てるのに手間がかからなくて、
かつ均質で大量に生産できるものだけが全国で生産されているのが実態だそうです。
ところが美味しいお漬物を作ろうと思うと、その品種では出来ないのだそうです。
昔ながらの品種で、育てるのが難しく、育て方も昔と同じにしてもらうと手間ばかりかかって
非効率なキュウリが必要になります。
でも、そのこだわりの素材が最高のお漬物の味を生み出すのです。
スキンケアも同じで、手間と時間をかけて手に入れると最高のものが手に入ります。
簡単に手に入れられるようなものでは限界があるということでしょう。
そのうえ折れ曲がった形の良くない個性的なキュウリが最高の味につながっているのです。
皆さんも、均質な美ではなく、それぞれの肌が持っている個性を大切にしたスキンケアで、
生き生きとした素肌を生み出して下さい。